“SOUL”的陸上競技活動録

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なぜ陸上スパイクは退化する一方なのか?

 今日は久々に完全レストしました。

 SOUL陸上競技部は部員の職業柄、陸上スパイクのうんちくだけは異常にうるさく、各自スパイクを持ち込んではあーだこーだ議論を交わします。

 私も陸上スパイクオタなのでほとんどのメーカーのスパイクには足を入れましたし、プーマのコンプリートテセウスも興味本意で海外から取り寄せて2足購入しています。

 
 そんな陸上スパイクオタ共で毎回議論されるのが

 『なぜ、現在のスパイク市場はどれもダメになってしまったのか?』です。

 私もスポーツショップ勤務という職業上、あらゆるメーカーさんと話す機会がありますが正直いって現在の陸上スパイク市場でこれやべー!!まじ使ってみたいっす!なんてモデルは一つもありません。

 もちろん持ちタイムからしてそんな偉そうなことは言えない身分であるのは重々承知はしていますが、100mはスパイクという相棒あってこそモチベーション、それこそタイムにも影響することはプレイヤーの方々なら共感してくれるはず。

 そんなシビアなスポーツを楽しむ以上、1%でも満足できる道具を使いたいと思うのは競技レベルに関係はないでしょう。

 非常に残念でありますが、今のメーカーさんはそんな一般スプリンターのニーズに応えてくれるモノづくりをしているとは到底思えません

 トップスプリンターのフィーリングのみでよしこれだ!とニューモデルをリリースし、そして肝心のトップ選手は特注のスパイクを愛用する・・・

 いつから陸上スパイク界も格差社会が生まれてしまったのでしょうか?

 そこで私は自宅にある陸マガをひっくり返し、所持している1997年から現在に至るまでの陸上スパイク(短距離に限ります。ご了承ください。)の遍歴を辿ってみることにしました。

 陸上スパイクの爆発的な進化は1991年の東京世界選手権からですが、1997年はアシックスから歴史に残る名スパイク『サイバーゼロ』が登場した記念すべき年となっています。(1996年のアトランタオリンピックでティム・モンゴメリーがすでに着用していましたが・・)
 
 
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 1997年サイバーゼロ 史上初のベルトフィッテングを採用した脅威のスパイク。反発性の高さ、着用感の良さなど他のスパイクを凌駕する性能を持つ。1998年香川インターハイでの100m出場者の着用率の高さがその人気を物語っている。なぜか履いている選手=速いの方程式を生み出した元祖。

 
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 1998年サイバーゼロ この世代の方々は必ず一度は目にしているはず。100m現日本記録保持者の伊東浩司選手が着用して記録を更新したので有名。アシックス好きなら所持を夢見るスパイクでした。ちなみに伊東選手モデルはプレートもオフホワイトになっています。

 
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 ちなみに私も所持していた1999年アディスターSP 1998年モデルはドノバン・ベイリー選手着用モデルだったため、私の兄は真っ先にくいついていました。日本人の足にフィットしやすくフラットプレートで走りやすかったです。

 
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 1999年サイバーゼロ カラーリングが斬新でした。サイバーゼロ人気の高さを物語っています。伊東選手も何度か履いていましたがやはり黄色バージョンが良かったのでしょうか?大きな舞台ではあまり着用を見ませんでした。

 
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 同年にリリースされたシューレースタイプのハイスペックモデル。あれ?最近では『SP-JAPAN』なんてモデルで25000円で販売されているような・・?初めてSP-JAPANを展示会で拝見したときは堂々と『高いメガスプリントですね~』と皮肉ったのがいい思い出です。

 
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 ちなみに私はこれを履いていました。今のナイキよりもアッパーがワイドでプレートもしっかりしていて走りやすいスパイクでした。

 
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 現在にも通ずる2000年サイバーゼロ。エナメル系素材のアッパーに新型プレート、そして高くなった上代が話題を呼びました。そして1999年のセビリア世界陸上で伊東選手が一次予選だけ履いて即却下されたのである意味有名なスパイクです。翌年2001年にはシルバーの色でアッパー素材が合成皮に変わりリリースされました。

 
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 2000年シドニーオリンピックを記念にリリースされた初のスケルトン仕様モデル。400mで履いている選手が目立ちました。ダイニーマという言葉が大きく露出されたスパイクです。

 
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 ちなみに私が2002年に履いていたのはこのモデル。朝原選手が10秒02の自己ベストを出したときに履いていたモデルです。為末選手も愛用していました。ティム・モンゴメリー、マリオン・ジョーンズも履いていた影の名作です。ただすごくアッパーのフィット感が弱く何度も脱げそうな錯覚に陥ったことか・・・

 
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 2002年リリースのサイバーゼロ。新しいアッパーデザインに2000年モデルよりもプレートが固くなっています。現在特注でオーダーできるサイバーゼロの原型ともいえるべきプロダクトです。

 ちなみにそのお隣にいるのがSTEPさん限定のサイバーゼロ。1998年~2003年あたりまで限定のサイバーゼロ、サイバーフィットスパイクを数多くリリースしていたstepさん。また出してくれませんかねぇ・・?もちろんこの上代で(笑

 
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 2003年リリースのサイバーゼロSOUL内では非常に人気の高いモデルです。2002年茨城インターハイで相川選手が着用していたのが有名でしょうか?カラーリング、性能、どれも一級の名スパイクです。

 
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 同年はパリ世界陸上で末績選手が200mで銅メダルを獲得した歴史に残る年です。そこからミズノの大逆襲が始まりました。爆発的人気になったきっかけのstepさん限定のインクススプリントもこの年からバリエーション豊かになりました。

 
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 2004年。ついにアシックスのスパイク市場はその変化を迎えようとしていました。伊東選手引退後も追い続けた走法に基づくスパイクを研究した結果リリースされたサイバーステルス。『プレートが固すぎる』『アッパーがきつい』『内側へ巻き込む』など周りの着用者からは酷評でした。二軸走法、弾む動きなど末績選手の躍進で一つ変化を迎えた日本のスプリント界とは逆行するスパイクの登場に惑わされた方も多いのでは?

 
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 女性スプリンター、軽量の男性選手に人気のあるサイバーレイもこの年にリリースされました。毎年アッパーが改良され、地味に人気のあるモデルです。

 
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 末績人気に後押しされ、ミズノ製スパイク全盛期の2004年~2007年。フルプレートチェンジしたクロノインクスも大変な人気でした。エアロカバー採用の2006年モデルは今でも買っておけばよかったと後悔しています。

 
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 2007年以降のスパイクに関しては現在もインターネットの検索エンジンからある程度探せるようになっています。2008年にリリースされたジオマッハは末績選手の走行データから発表された斬新作。しかしその実態はトップ選手に使われているカーボン未使用のためにプレートの完成度が中途半端な見かけ倒しのモデルとなっています。この頃からミズノも迷走に入ることとなります。

 
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 ちなみに私が2007年に作成した特注スパイク。クロノインクスのアッパーにジオスパークのプレートをカットしてシャークスキンでフラットプレートに仕上げてます。もちろんカーボン入り。ミズノの石塚選手、安孫子選手と同モデルです。着用感、走りやすさは言うまでもありません。ただしとんでもなく高かったです。

 
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 しかし、2008年のクロノインクスリリースをもってミズノのスパイク市場も終了となりました。フルプレートチェンジ、6mmの固定ピン、一般ユーザーの意見を無視した性能に競技者の多くは落胆したことでしょう。それでも他にリリースされたスパイクと比べると『履かざるおえない』といった流れで着用者はぼちぼち。この年前後からスペクトラ、stepさんオリジナルの人気はさらに高まっていきました。私も使ってみましたが確かに反発はありますが何か物足りない感じ。ちなみに同モデルを使用しているだろうと思われる塚原選手はピンを7mmに改良、さらにカーボン使用という全くの別物となっています。 
 この頃から広まり始めた許せない事実があります。トップ選手と一般選手のスパイク格差です。量販モデルとトップ選手もモデルを比べると、アッパーこそ同じですがプレートは全くの別物という流れが建著に表れはじめました。代表的な例がクロノインクスです。トップ選手はこぞって2007年以前のプレートを使っています。これはなぜでしょうか?明らかにその方が走りやすいからです。なぜ一般のプレートも元に戻さないのでしょうか?展示会場でも直接メーカーには問いかけていますが明確な答えはもらっていません。ロンドン五輪でのフルプレートチェンジを期待するしかありません。

 
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 2008年リリース サイバーオーラ 弓矢の原理でプレート・アッパーの間にしなりを加え反発力を高めるという画期的性能をうたい文句に堂々と販売されたモデル。残念ながらトップ選手で着用している選手はほんの一部でした。アッパーのフィット感不足、踵のホールド感が合わずアキレス腱を痛めたのはいい思い出です。プレートも内側への巻き込み、中足部のピン配列の不満などからフラッグシップモデル(笑)という称号を得てしまいました。ちなみに翌年には6000円高くなったメガスプリントのリリースされました。

 
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 現在のトップ選手人気ナンバーワンのSPブレード2011年モデル。安定したプレートに確かなフィット感がどの選手層・競技レベルにもマッチしていてまず失敗のないスパイクとなっています。原型は2006年頃からリリースされたサイバーブレード。ただシューレース型にしてトップ選手が記録だしただけで人気が出るのは今も昔も変わりませんね。

 
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 ミズノスパイク最後の良心でもあったジオサイレンサーも2011年をもってプレートチェンジとなりました。stepさんではしっかりと旧プレートで限定モデルをリリースしています。この温度差はなんでしょうね?柔らかくなったプレートとなぜか変更されたベルトフィッテングが奇妙なモデルとなっています。実は同プレートを採用しているジオスナイパーの方がミッドが入っていてアッパーもシューレースなので完成度が高くなっています。皆さん騙されないで!!笑

 
 私好みで軌跡を追ってみましたが、やはり後半になるにつれて長所を書くのがつらくなってきます。学生でまだお金もなかった2004年前後にタイムスリップしてスパイクを買いあさってみたいと今でも切に思います。

 
 そんな自分の今年は少しでもいいスパイクをとサイバーゴールド2。妥協して妥協してこのモデルですから来年こそは市販でも夢ときめくスパイクに出会いたいものですね。

 
 
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by soul-tfc | 2011-04-19 21:22 | 陸上競技



兵庫県で走っている一般趣味人競技者の日誌です。社会人陸上と陸上競技用品ネタの話題が多いです。
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自己紹介
1985年9月生まれ。A型
163cm・59kg
学生時代は関東選手権優勝、日本選手権リレー出場程度。
現在はスポーツ用品販売業の傍ら、趣味の範囲で競技生活を続行中。

専門種目
100m~110km

2005年
SOULとして活動を始める。
2007年
SOUL陸上競技部を設立。
2010年
東日本実業団陸上男子
400mR6位
2011年
東日本実業団陸上男子
400mR7位
2011年末
体調不良を理由に
SOUL陸上競技部
の活動を無期限休止。
2012年初春競技再開。
2012年7月おんたけ100kmウルトラトレイル完走
2012年8月ほぼベストまで走りが戻る。
2012年8月26日仕事中に右アキレス腱断裂
2013年8月24日100mに復帰11秒86(-1.1)
2013年9月15日信越五岳トレイルランニングレース110km完走
2014年大阪マラソン出場予定
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